2010年06月23日

ガムはおやつにはいりません

ぜんぶたとえばなしです。

私は、ちょっとまえ、整理整頓をするのをおしごとにしていました。

アメがはいってきたらお菓子のはこにいれます。
キャベツがはいってきたら野菜のはこにいれます。

そうゆう、おしごとをしてました。

それで、わたしはそのおしごとが、ちょっとだけつらいところがあって。
あるひ、言ったんです。

「あの、ガムは野菜のはこにいれることにきまってるけど、これからはお菓子のはこにいれませんか?」
で、
「なんで?」
ってきかれて、
「ガムはお菓子だからです」
ってこたえたら、
「ガムがお菓子って、なに、ちょっと説明して」
っていわれて、
「えーっ、だって、ガムはお菓子ですよ」
「でも、ねばねばするんだから山芋かオクラのなかまでしょ?」
「いえ、ガムはお菓子です。これは私だけが言ってるわけじゃないです。この本をみてください、ここにかいてあります」
「ふーん、でもさ、ガムはほかのお菓子とちがって飲み込まないよね。お菓子の箱に入れるのは妥当なの?」
「えっ、いや……でも、野菜の箱にいれるよりはいいとおもうんですけど。だいたい、世間ではガムはお菓子売り場で売ってるし、わたしもそれが妥当だとおもいます。なんでここでは、ガムを野菜に分類してるんですか、やっぱり、お菓子に分類したほうがいいとおもうんです」
「そー。なかのさんはガムを専攻してるから、自分の得意なジャンルには敏感なのかもしれないけど……」
「私の専攻は玉子ボーロです。ガムの専攻じゃありません。でも、やっぱり、お菓子研究所と名前の付いたところで、ガムを野菜に分類するのは、ちょっと私はいやです。恥ずかしいです。それに、ガムを食べる人や、ガムを専攻してるひとが見たら、ガムが野菜に分類されてたらつらいとおもいます」
「あー、ガムを食べる人やガムを専攻してるひとは怖いからね。抗議が来たら面倒くさいことになるかもしれませんね」
「そういうことじゃなくて、私は玉子ボーロが専攻だけど、それって、ようするにお菓子の研究者ってことです。あなたは金平糖の研究者かもしれないけど、やっぱりそれって、お菓子の研究者ってことです。お菓子の研究者が、こまかい分類はべつにして、ガムを野菜に分類してるのは、それはそんなに、私個人の趣味の偏向とか、ガムを食べる人の抗議がこわいからとか、そんな理由じゃなくて、やっぱり、お菓子の研究者として、ガムが野菜に分類されてるのはヘンだと……」

私はガムを専攻してないし、ガムに詳しいわけじゃなくて、「大学院でガムはお菓子です」ってならってきたから、そういう訓練をうけてきたから、この分類はきもちわるいし、この感覚はお菓子の研究者であれば共有できるものと思っていたから、
「ガムがお菓子であるというなら、その理由を説明して」といわれるのにびっくりしたし、説明したあとも「あなたはガムにくわしいからきになるだけ(あなたいがいのだれもこの分類がなぜおかしいのかわかってないよ)」とか「だってガムはのみこまないんだからお菓子に分類していいのか疑問だ」
とかいわれるの、びっくりして。
「え、ええ?」
ってなって、ショックで、

「私は玉子ボーロの研究者であるということはつまり、お菓子の研究者であるのだから、
ガムが飲み込めないという理由だけで、ガムをお菓子じゃなくて、お菓子よりさらに的はずれな野菜に分類してる、お菓子の研究者としてそれは許されないと思ってる、それは、じぶんの研究への姿勢に、ものすごくかかわることで、これ以上ガムを野菜に分類しつづけるのは、私の研究への気持ちを壊してしまう。わたしはここで、研究職としてはたらいているわけで、だから、ガムを野菜に分類しなさいと命令するなら、研究者としてとてもつらいから、私はこの仕事をやめたい」

ということを、あまりちゃんといえなくてけっきょく、

「すみません。どうしてもいやです。いやなんで、ガムをお菓子のはこにいれさせてください」
って、私個人のワガママをおしつけたようなかんじにいってしまって、で、「じゃあそういうことにしましょう」ってことになって、ガムはお菓子の箱にいれることになったんです。

でも、そんな、私がワガママをおしつけたようなかんじにおもわれてるかもしれないけど。
だって、お菓子の研究所でしょう? お菓子を研究してる人たちがあつあまっている所でしょう?

ガムを野菜の箱にいれたくない、ってそれはほんとうに、私の個人的な、趣味で、ワガママなんだろううか。


なにかというと、

なんで手話を「言語」じゃなくて「みぶりてぶり」なんかと同じ箱にいれてるの……
posted by なかのまき at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記