2010年08月24日

「5分くらい」の遅刻ができる特権

「遅刻をするひとを せめるのは やめましょう。
5分や10分の遅刻でガタガタいうなんてやなひとだね」


私の知り合いに、私との待ち合わせにぜったい5〜10分くらい遅刻してくるひとがいて。
遅刻しないことのほうが数えられるくらいの人なんですが。
朝待ち合わせしても昼待ち合わせしても夜待ち合わせしてもまんべんなく遅刻するので、そういう人なんだろうな。と。思ってて。
あと、ぜったい20分は遅刻しないので、たぶん、
「20分以内の遅刻は問題ない」っていう信念がある人なんでしょう。
で、ある日私とその人と、大学院の先生の3人で待ち合わせして。

先生から「遅刻する」ってメールがきて、
その直後に「私も遅刻する。でも先生より遅刻しないようにしなきゃ」
みたいなメールが来て。
「はあっ? この人、遅刻することが悪いことだと思ってたの?」
って、びっくりして。
いままでの私との待ち合わせの傍若無人っぷりに、「遅刻に罪悪感を感じない人なんだろう」と勝手に思ってたのですが。
正確には、
「なかのとの待ち合わせには遅刻はあたりまえ。だけど先生との待ち合わせの遅刻は罪悪」
という価値観の持ち主だったらしい。

これが発覚して、こころのせまい私はかなり腹が立ったのだけど。
「先生と私はなにがちがうの?」
って。
で、
「友達だったら5分や10分の遅刻をうるさく言うほうがおかしい。先生とあなたを同列に考えろという要求がそもそもおかしい」
みたいなことをいわれた。
「友情」!
なんてうつくしい魔法の言葉。「努力」なみに都合のいいおうつくしい言葉ですね。そういやこの人、「努力」ってことばをつかって私を怒らせたことあったな。
「努力・友情・勝利」って、ジャンプの世界の住人ですか。


でね。
私は昔、夜中にコンビニに歩いて行けないようなどいなかに住んでたんです。
いや、歩こうと思えばあるけるんですけど。
夜中に「アイス食べたい」とかなっても、ほいほい買いに行こうとすると親に叱られるわけなんで。こどもが夜中にほっつき歩いていい距離ではないんですね。それなりにこどもが好きな変態さんもうろうろしてるので。
だから、私はそもそも「夜中にアイスが食べたくなる」という欲求がないわけですね。そういう発想がないので。
私の日常にコンビニはない。

あと、私、昔の住所に「郡」がついてたんですけど。
中学校のころに、
「私たち、住所が郡だから、高校にはいったら市民に「郡民(ぐんみん)」っていわれていじめられるんだよ」
みたいなくだらない学校伝説に怯えてました。
公立高校の学区に、わたしらのすむ郡と、となりの大きな市があって。一つの高校に郡民と市民が通うわけです。で、市民の高校生に「郡民」とさげすまれるという言い伝えが学校中に蔓延してました。
まあ高校にはいっても、実際にはいじめられたりはしませんでしたけど。
それだけ心の負担になってたんですね。私らにとって。「郡」が。

というわけで、私はたぶん、自分も認める他人も認める
はえぬきのいなかものです。

で「私はいなかものです」っていうと
「そんなことないよー」って。
私が謙遜してると解釈してるのか、否定されることもあるけど。
「田舎もの」が「都会もの」より劣位にあるという前提がないと謙遜という解釈はなりたたないので。自分がいなかものをバカにしてるという自覚をもってほしいです。
私がいなかものであることは事実なので、否定しないでください。失礼です。

それで、「郡」から都内(23区内山手線とかが走ってる駅)にいくのにものすごい労力と電車賃が必要なわけですね。
で、5分10分遅刻なんて器用なマネはできないんです。

私はまず、電車が通ってない地区に住んでるので、電車の最寄り駅にいくまでに、バスです。
で、バスは一時間に多いときで3本、平日の昼間なんか一時間に1本です。
そしてバスはたいがい遅れます。
雨の日とか、道が混んでかならず遅れます。
で、電車を乗り遅れると乗り継ぎやらなんやらで予定通りにいかないわけで。どんどん遅れるんです。
電車もけっこうひどいんですよ。始発から終点まで乗るのでね。特急にのれるか快速(というなまえのほぼ各停)にのるかでだいぶ時間が狂うわけで。

それで、都内の待ち合わせにね。遅れないようにするために私がどんだけ大変か。
私が遅刻するときには、バスいっぽん乗り遅れて40分遅刻とかね。
そのレベルなわけなんです。
ぜったい遅刻したくないわけですよ。あと、出発点のバスという公共機関が信用ならんから、時間のみつもりなんかできないのね。
とりあえず、いつでも「余裕をもって行動」しかないわけです。

歩いて最寄り駅までいけて、5分に一本とか電車がきてね。
「あ、電車乗り逃しちゃった。ごっめーん。5分おくれるー」
ってメール一本ですませられる都会もんとね。
待ち合わせ時間に間に合わせるという真剣さが違うのですね。

つまり。

都内で。
「ごっめーん、5分おくれたー」
ができる、それは 特権 なんですよ。
田舎モノはできない芸当なんでね。

あなたの気軽な「ごっめーん」はどれだけの都合にささえられているのか。都会にすみ、時間通りに電車がうごき、5分10分おきに電車がやってくる。なんでそれをあたりまえの前提として、疑わないのか。
あなたが特権的に行使可能な「ごっめーん」の機会が、あたえられていないいなかものが都内にどれだけごろごろしてるか。
考えないんだろうなあ。

「じゃあいなかものも40分の「ごっめーん」をすればいいじゃない」って、そういうこといわれそうだけど。
毎回毎回40分の遅刻なんか、そんなことはしたくないです。
ばかばかしい。下手すれば一日の予定が狂うわけでしょ。
莫大な電車賃つかって都内にでるわけですよ。有意義にすごしたいですよ。

「人にはいろいろなつごうがあります。
時間を守れない人を責めるのはやめよう」
っていうのは。
そりゃあ、そうなんですよ。
でもそれってでも、
都会モノの「ごっめーん」を解放することはできても、いなかものを救うことはできないんですよねえ。
だから、「5分や10分くらいいじゃない」っていわれても、初発のバスに乗り過ごすと40分予定がくるういなかもんにとっては、
「特権をもつものに都合がいい意見だな。いい気なもんだ」
と思ってしまうわけで。

これはどうすればいいのかな。
とりあえず、電車が走ってる以上、いなかものが都内に来ることは前提にしたほうがいいとおもう。
都内のまちあわせ。

posted by なかのまき at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記