2012年11月03日

資料紹介『橋本先生をしのぶ』

国立国語研究所でおもしろい資料をみつけました。

『橋本先生をしのぶ』という謄写版印刷の冊子です。

1977年の印刷です。

東大で橋本進吉の講義をうけていた国語学・国文学の人が、年に一度「橋本先生をしのぶ」という会をやっていたのですが、20回記念ということで小冊子をだしたということです。


いくつかご紹介します。
翻字は、なかのがやりました。翻字のまちがいがございましたら、指摘してください。
画像はサムネイルです。クリックするとおおきいものがみられます。
ちなみに、名前の上の数字は卒業年次だそうです。

西尾光雄



(7)西尾 光雄
わたくしのようなものゝ書き
ましたものをごらんになつた
ことをおっしゃられました時ハ
何とお返事申しあげて
よいかわかりませんでした。


水野清

(10)水野 清
あれは、昭和18年か19年の夏だろうか。林大氏にでも聞いて
みたい。久々にお宅に上がったら、先生は、いくらか ちいさく なられた
感じのからだで言われた。「やせ脚気になり、14キロの体重が
9キロにまで へった。われわれはヤミ買い が 出来なかったし、どう
したら出来るかも 知らない。配給の野菜その他だけで生活
していた結果だ。幸い林大君が 野菜を 贈ってくれて、
助かつた所だ」と。それで、「先生も そろそろ 疎開なさつては、
いかがですか。」と申しあげると、「今、疎開となれば、本を郷里へ送ら
ねばならぬが、それがもう出来ない。本を離れては、生きてるかいがな
いからね。」とのお答で。それ以上は言えなくなって辞去したのだった。
「学問に殉ずる先生」を痛感すると同時に、日本文学報国会長で
あられた先生に、政府の報いる所、余りにすくないことを恨みつる
苦しい気持ちで 帰って 来たのだった。


井上豊

(7)井上 豊
先生について特に思い出さ
れるのは、にこやかな温顔と
手がたいお講義です、
なお住所が表記に変りま
した、


亀井孝

(10)亀井 孝
思い出はいろ\/あれど このスペイスに盛りこむこと
は どうも むつかしいので ざんねんですが また 別の
機会に でも 譲りたく
さて感想ですが みなさま たのしく お集り
に なるのは けっこうなれど しかし 先生が もし
会を ごらん に なつたら どういう”感想”を懐かれる
は また 別なるべし というのが わたくしの 感想
――先生についての感想――です(ということは 先生が
おれを肴にのんでくれてうれしいと仰せにならないの意にはあらず)



引用してみておもつたのですが、おのおの東大をご卒業なされた先生がた、
字のかきぶりやおおきさ、字体、 紙面のスペイスのつかいかたまで
わりと こころにまかせた こせいあふるゝ ものであるなあ というのが
わたくしの感想です。
posted by なかのまき at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記