2009年10月29日

左手で字を書きにくいならパソコンで書けばいいじゃない

「左手で字を書きにくいならパソコンで書けばいいじゃない」

どこのマリーアントワネットかよ、みたいなタイトルですが。

ネタでなく。
マジメに本気で言われたことあるので。
(というか、わりと普通によく言われるので)

このブログをつくるきっかけが、この一言(言われたのは一回じゃないけど)なので。

一番最初にこれ、説明しておきたいです。
なにが問題なのかというと。

「パソコンで書けばいいじゃない」って

右手書字の人は手書きで書くかPCで書くか選べるのに、

左手書字者は手書き文字から追い出しちゃえってことなんだろうか。

そういうつもりでいってるなら、左手で毎日のように字を書いている私は腹が立つのでそういうことを言わないで欲しい。

結論いいました。


以下はやたら長くなったので、
その気になったら読んでください。
本当はブログなんだからもっと短く書きたいのだけど。

「左手では字が書きにくい。」
「パソコンで書けばいいじゃない」

まず、文字にしてみると明らかに会話がかみ合っていないかんじですね。
なんで手で字を書きにくいって言ってるのに、いきなりパソコンが出てくるんだ?

「パソコンで書けば〔………〕いいじゃない」

かみ合ってないと感じるのは、
の発言のほうに、〔 〕のなかに省略されたことばがあるんです。

で、〔 〕には何が入るのか。
すごく意地悪なものの考え方をせず、素直に考えれば。

「パソコンで書けば〔てがきの文字を書かなくて〕いいじゃない」

だとおもうんです。
でも、だいぶ違和感があるので
もっとよい解釈があれば嬉しいのですが。
だって、

「左手利きの人はもうこの先一生手書きの文字を書かなければいいじゃない」

ってことですよね。
これ、だいぶとんでもないことを言ってるようにみえるのですが。

「手書き文字」と「パソコン打ち出し文字」は、まったく同価値に、同じ役割を担っているわけではないのです。

お手紙を手書き文字の文字でやれば「心がこもってる風」になったりしますし、パソコンで打ち出した文字だと「ちゃんとしてる風」になります。

生活の中で場に応じて使い分けてるわけです。
そう考えると、
「パソコンで書けばいいじゃない」
て、誰にとってなにが「いい」のか、私にはちっとも分かりませんね。

仮に、
この先一生手書きの文字を書かなくてもいいような世界に住んでいれば。
「パソコンで字を書けばいいじゃない」
はまっとうなアドバイスかとは思いますが。
(それにしたって手で字を書きたいという左手書字者はゼロなんだろうか。
手書きの字がキレイねって褒められたかったり、お手紙に墨でさらさらと「あらあらかしこ」とかやってみたい左手書字者はいないという前提でよいのでしょうか)

まあ、とりあえず現在の私が
「パソコンで字を書けばいいじゃない」を実行したとしましょう。

えーと。

大学は、学校も授業のノートは手で取ります。
PCはキーボードの音がうるさいから使わないです。
図書館もPCの使用はごく一部の場所でしかできません。
PCを持ち込めない場所で本を読まなければいけないときもあるので、メモを取りたくなったら困ります。
あと、ちょっと前まで大学院生の履修登録は紙に書いて提出でした。
というわけで、学校では手書きの文字を書かないでいるのは難しそうです。
しかたないので、学校をやめましょう。

私の仕事場も、手書きの文字を書かないでは一日も過ごせない場所です。
じゃあ、仕事もやめましょう。

学校もやめて、この先永遠に手書きの字を書かなくていい仕事について(どんな職場だか検討がつきませんので、だれか知ってたらおしえてください)。

クレジットカードは解約すればいいですね。

ツタヤとかいって会員になりたいとおもったら、名前と住所を記入しなければいけないので、そういうものの会員には一切ならなければいいですかね。

病院にいったら初診の問診票をかかなければいけません。病気にかからなければいいですかね。

「恵まれない子供達のために署名をあつめてます!」っていわれたら断りましょう

役所に手続きにいったら「この書類を書いて下さい」とかいって紙を渡されることもあるので、引っ越しとかケッコンとか出産とかもしない方がいいですね。

死ぬときには私は何も書かなくていいので、死ぬことは出来そうですね。


というわけで、かんがえてみれば私は大人なので、PCを人並みにいじる技術も持っているし、字を書かない一生でもなんとかやっていけそうです。
(心底やりたくないけど)

ただ、私が子供だったら。小学生だったらどうですかね。


「左手で字が書きにくいです」
「パソコンで書けばいいじゃない」
って言うかなあ。

教室にPC持ち込んで板書をPCでノートしてもいいのかな。
「かきかた」とか「書道」の時間とかどうするのかな。
漢字とか、「とにかく手で書いて憶えなさい」とかいって10回くらい書かされたけど。教育法は変わってるのかな?
「書いておぼえる」以外にひらがなと漢字のおぼえ方は開発されてるのかな?

テストは大丈夫なのかな。
漢字の書き取りテストどうするんだろ。
PCで算数のテスト受けていいのかな?
図にかいて説明せよ、とかいう問題はどうするんだろ。
画像ソフトで書くのかな。それとも図は手でかいてスキャナで取り込むのかな?

あと、
PCて高価だし、乱暴に使うとすぐ壊れるという
経済的な問題はどうすればいいかな。

小学校の、中学校の、高校の、大学の受験はPCで受けられるのかな。
就職試験はPCで受けられるのかな?

将来的には、これらぜんぶ、「問題ない」って言えるようにしたほうがいいでしょう。
授業のノートも、テストも、ぜんぶPCで出来るようにするべきでしょう。
もちろん、書道の授業も。(何をやるんだか知らないけど)

これ、手書きの文字なんか滅びてしまえ、ってことではなく。
左手利きの人も、右手利きの人も、文房具を選べた方がいいな、ということです。
鉛筆で書くか、シャープペンシルで書くか、ボールペンで書くか、パソコンで書くか。
自分の書きやすい文具を選べるようになればいいね。

ただ、現状は無理ですね。

一生手書きの字を書かないで生きる、というのは、しんどいから嫌だ。
それだったら「字が汚いから心も汚い」と言われても、しぶしぶながら、手書きの文字を書きつづけることをえらびます。

だからね、

「左手で字を書きにくいならパソコンで書けばいいじゃない」

って、私は、どういうつもりでいってるのかわからない。
すごく悪意のある目でみると。

「(そりゃあ、たしかに左手で字を書くのって大変かもしれないけどざ)(いまは全部の字を手で書く必要なんかないんだから)(昔にくらべたらちょっとはマシなんだから)(左手利きの人は)(ちょっとくらいガマンして、下手くそな字と平行して)パソコンで書けば(右手利きだけに都合の良い手書き文字の宇宙を温存出来て)いいじゃない」


と言ってるようにきこえるんですけどね。
いえ、「そんなつもりじゃない」のは分かってます。
けどね。けっきょく
「パソコンでかけばいいじゃない」
ってのは、意訳すれば

「私はなんにも考えていませんので、そんな話を振らないでください。考えたくありません」

っていうことでしょう。

まあ、それはいいですよ。
べつに考えたくないことは考えなくてもいい。

でもね、なんか、自分の生徒や学生に手書きのノートをとらせて、自分の所属する学校の入試は手書きで試験をうけさせて、
生徒や学生に手書き文字を書かせないわけには行かないような場所に追い込んでいる、
学校の先生まで
「パソコンで書けばいいじゃない」
っていうのが本当に不思議なんですけどね。
いいわけない。
なんのつもりでそんな意味のないことをいうんだろう。

わりと、知り合いの学校の先生も
「パソコンで書けばいいじゃない」
って。
言うんです。
あ、日本語教育の教師も。
「もうだいたい授業はパワーポイントだから」

posted by なかのまき at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 左手で字をかくこと
この記事へのコメント
左手の人が、手書きの時不自由がないようにするには、どうしたらいいでしょうね・・・。
左手用はさみ・包丁のように、文具を改善したら少しは便利でしょうか。
それとも、文字自体が書きにくいバランスなのでしょうか。
考えなしに無神経なこと言っていたかもしれないと、反省・・・。
このブログ面白いし勉強になります^^また来ます!
Posted by Y Selection at 2009年11月29日 23:26
Y Selectionさん

コメントありがとうございます。

てがきの文字はあれはもうどうにもならんレベルで右利き用に偏ってるので、
手書きで文字を書く必要が一切無く、パソコンですべてをまかなえるようにするって方向に努力するのが、
私はいいとおもいます。

ただ、てがきの文字を書かなければけっこう不自由な世の中のしくみであるのにかかわらず、「今時はパソコンでかけばいいじゃない」
とか言われると腹が立つので、
なんかいろいろ悩んでしまいます。
「じゃあ、左利きの人はてがきしちゃいけないのかな」と。
このへんの結論はまだだせてません。

文具も、万年筆とかは右手に書きやすいように調整してあるらしく(左手利きように万年筆を調整してくれるサービスもあるようです)
工夫の余地はあるとおもいます。

そうではあるもののやはり、左手用のハサミに相当するものは、左手用の文字です。
文具よりは、文字そのものを改善してくれるとありがたいです。

左手利きは鏡文字で、ってのは、無駄に文字種を増やすことになるし、
マジョリティである右利きはふつうの文字、印刷物もふつうの文字、左手利きだけ鏡文字というのだとやっぱり、鏡文字使用者にとても不利な社会になりそうです。

なかなか難しいです。
なるべく面白い方向で書きたいとおもってますので、暇なときにのぞいてみてください。

Posted by なかのまき at 2009年12月01日 00:33
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