2010年01月31日

それはわたしの問題ではなく、あなたの課題だ。

こんかいの記事は、私がまえにかいた論文

なかのまき(2008)「左手書字をめぐる問題」『社会言語学8』pp.61-76

の内容と、ちょっとかぶります。

テーマは、
日本語教育と書道教育の左手書字者へのあつかい。



何度も引用してますが、
よくまとまっているので引用したくなるんです。

押木秀樹氏のサイト


楷書の線の合理性

より。


 ただ、興味深い意見を聞くことができました。私どもの大学への留学生で、左利き、しかも筆を持つのは初めてという学生が数名いました。最初の時間、右手と左手と両方でこの楷書の線を書いてもらい、どちらが書きやすいか聞いてみました。結果は、ほとんどの学生から、右手で筆記具を持つのは初めてだが、毛筆の線は右手の方が書きやすい気がするという意見をもらうことができました。また、1名の方(UKで教師の経験有り)は、利き手が左手であることをマイナス要素のとして捉えることなく、新鮮な体験をより効果的におこなうために、教育活動として工夫すべきだという意見を下さいました。左手で書くことの工夫、右手で書いてみるという新たな体験、いずれにしても効果的な学習活動にすることが重要だと感じました。


日本語学習者で、左手書字者への毛筆についてかかれておりましたので引用しました。


日本語学習者で、左手書字するひとに。書道やらせていいのか。
本人も興味を持って、やってみたいと感じたら、遊びでだったらやってもいいかとおもいます。
「ああ、かわいそうな日本の左手で字を書くこどもたち。私は日本で教育を受けるはめにならなくてよかった」
と。筆で字を書くことで、日本文化への理解がすすむとおもいますので。
いいとおもいますよ。

それはともかく。
もう一度引用します。

1名の方(UKで教師の経験有り)は、利き手が左手であることをマイナス要素のとして捉えることなく、新鮮な体験をより効果的におこなうために、教育活動として工夫すべきだという意見を下さいました。左手で書くことの工夫、右手で書いてみるという新たな体験、いずれにしても効果的な学習活動にすることが重要だと感じました。



下線は私がつけました。

左手ききには、
「左手で書くことの工夫」と、「右手で書いてみるという新たな体験」が効果的な学習活動なんですか。へー。
えっと、これは学習者の立場にたっての発言ですか?

じゃあ、右手で字をかいているひともぜひ、

「右手で字を書くことの工夫」と、「左手で書いてみるという新たな体験」をしてはいかがでしょう?

どうしたっておかしいですよね。

まず、「左手で書くことの工夫」ってのは、
学習者の側がするものじゃないです。教師の仕事です。
なぜ、学習者が「左手で書く」ための「工夫」をしなきゃいけないんですか?
「右手で字を書くことの工夫」は、教師が手取り足取り懇切丁寧におしえてくれるのに。
左手で字かくこどもや学習者には、筆をもたせて
「さ〜あ、キミが書きやすいように工夫をしてみよう!」
とか言いっぱなしにするってことですか。

つぎ。
左手書字者による「右手で書いてみるという新たな体験」が「効果的な学習活動」なら、右手書字者にも「左手で字を書いてみるという新たな体験」をぜひ。じゃないと不公平ですよね。
「左手書字者ばかり”効果的な学習活動”ができてズルイ!」ってことになりませんか。

これ、あきらかに、学習者の側にたっての発言ではなく、教える側の都合のおしつけでしょう。

キミが左手ききなら、書道の時間には
「右手で書いてみるという新たな体験」をしてみない?(→右手書字への強制、もしくは圧力)
え?やっぱり左手でかきたいの?そう。じゃあ、
「左手で書く工夫」は自分でやってネ。(→指導放棄)
それが「効果的な学習活動」だよ!(→おのれの正当化)

「効果的な学習効果」とかいって、それが、左手で字をかく学習者にむりやり右手で字をかかせたり、字のかきかた教えないでほうっておくための口実になるんですか。
ちょっとひどくないですか。


で、これ、日本語教育なんですが。


・左手ききにたいする、右手書字の強制
・左手書字をする学習者への指導(責任)放棄
・おのれの正当化

これ、3点セットでおぼえておきましょう。
次の記事で、別の、日本語教育と左手書字について書いてある文献を紹介します。
で、またこの3点セットがちゃんと出てきます。
もー、この3点セットは無敵ですね。

とりあえず、
長くなったので今日はここまで。





posted by なかのまき at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 書道教育
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