2010年03月03日

筆順はいきている

マンガを紹介します。
画像はサムネイルですので、クリックすると大きなのが見られます。

man.jpg
man2.jpg

人に「筆順について書いてあるマンガあったよ」っておしえてもらいました。

『インド夫婦茶碗』8(流水りんこ・ぶんか社・2006年)

これは、ジャンルとしてはエッセイマンガです。
マンガ家のリンコさんと、インド人の夫サッシーと、こどものアシタ君とアルナちゃんの日常を書いたマンガです。


息子のアシタ君に筆順の間違いを指摘されたリンコさんの感想がこう。

「なんだか
 手慣れだけで
 漢字を書いてた
 ってことが
 今回発覚…」

親の面目
丸つぶれ

漢字だけはちゃんと憶えんと
大人になって
いっぱい恥ずかしい
思いをするぞ
するぞ
するぞ
するぞ
するぞ


このマンガからわかることは、

・小学校でいまだに「正しい」ものとして筆順が教えられている
・筆順が「正しく」ないと「恥ずかしい」と感じるおとながいる

アシタ君の学校に左手で時を書くひとは一人もいないのかなあ。
だいたい、横書きするとき、あんな筆順守る必要ないし。
というか。
筆順が「正しく」なければ、どんなに点画がちゃんと書けていてもまだなお、漢字を「ちゃんと憶えた」ことにならないのか。
筆順の「正しさ」が、「漢字の習熟度」とか、まったくかんけいないものまではかるモノサシになっちゃってることが、このマンガからもわかります。
あと、「いまどき学校で筆順なんかうるさく言わないでしょ」とか、(根拠もなく無責任に)言うひとがいるかもしれないので、釘をさすいみでも、このマンガ。
とりあげる意味はありましょう。

「正しい」筆順は、いまだに、学校教育のなかで生きてます。

あ、だけど、このマンガのなかのリンコさんやアシタ君をせめるつもりはありません。
先生に「正しいものは正しい」とならってしまえば、それを疑うのは、よっぽど筆順で不利益をこうむらないかぎり、むずかしいかもしれません。

先生と呼ばれてる人、もうちょっとどうにかなりませんか

とは思いますけど。リンコさんや、アシタ君が悪いとはおもいません。


これは、ユーキャンのCMでも(私のなかで)有名な蒼井優さん主演で映画化もしてわりと有名なマンガなのではないかとおもいますが。
『ハチミツとクローバー』9巻(羽海野チカ・集英社・2006)
友達の家で読んで
「え、これ……どうなの?」
っておもったので。

hati.jpg

美術大学を舞台にしたお話しです。
ストーリーはとりあえず、
ウィキペディアから確認してください。

このマンガは全10巻なのですが、10巻のクライマックスのところで、主人公の女の子、はぐちゃんが、上から降ってきたガラスで右手の神経を切る、という事件が起きます。

はぐちゃんはみんなから期待されている芸術家で、利き手である右手が、怪我で動かなくなるかもしれない、そうすると絵がかけなくなるかもしれないと怯えるシーンです。

手…
手が死んじゃう

それだけは
いや
絶対に だめ

描けなくなったら
私も死ぬ


こんな切ないはぐちゃんのセリフがありますが。

ここで、
「右手で描けないなら左手でかけばいーじゃない」
とかいっちゃうのはだめですか?
「さいてー!」
とかいわれそうですね。そうですね。

あ、
「筆で絵が描けないならパソコンで描けば? マウスだけですごい絵を描く人もいるよ?」
とかもだめでしょうね。だめですよね。うん。


そういや、『とめはねっ! 鈴里高校』の1巻でも、主人公の大江君が右手を怪我するというストーリーがありますが、
これも左手で字かかないのですね。
ふしぎ。
なんで左手で字をかいてみようって気にならないんですかね。

tome.jpg

左手で教科書に
アンダーラインを引いているだけ…

右手のケガの
せいで、マトモに
ノートをとることが
できないみたい…


右手をケガしたんなら左手で字をかけばいいじゃない。
ってのはだめですか?

私は「左手で字がかきにくい」っていうと”善意で”「右手で書くのはできないの?」みたいなやさしいアドバイスをくださる人もいるんですけど。
そういうひとは、はぐちゃんや大江くんにも「左手でかけないの?」ってアドバイスしますか?


なにがいいたいかというと。

右利きの人が、ケガで利き手を使えなくなる、ってのは人気漫画のクライマックスのお涙ちょうだいエピソードとしてつかわれるくらい、ドラマチックな悲劇になりうるのに。

左手利きのこどもは、無造作にしかも人為的に、それをやられてる。
左手利きの右手矯正って、これですよ。

この、非対称はなんなんですか。
そして、手を下すのはだいたい、保護者です。

俵万智の短歌に

生きるとは手をのばすこと幼子の指がプーさんの鼻をつかめり


っていうのがある。
私は「生きるとは手をのばすこと」かどうかしりませんが。
これがもし、そうなら。こどもが左手をのばしたとき、
「おまえいっぺん死んで右利きにうまれかわってこい」
っていうのが、右手矯正のことです。

「あなたのために」と、近しい人の手によって利き手をもぎとられる。
その暴力性に、きづかないのですか?
はぐちゃんを襲った試練を「つらい」と思うなら同じように、矯正されるこどものつらさもわからなければいけない。
「左手で字がかきにくいなら右手でかけば?」っていうなら、はぐちゃんにも「右手をケガしたんだったら左手でかけば?」っていわなきゃ。
そんなこという人と、私は友達になりたくないけど。


また、「こどものために」と利き手矯正するお母さんのなかには、それをしたことによって自らも、傷を負ってしまう人がいる。
私の友達で右手矯正をした子がいて、
「お母さんに、可哀想だったから矯正しなければよかったかもって言われたことある」
っておしえてもらったことがあります。

これが本当に「こどものため」なのかと迷いながら、こどもの矯正をしてしまうと、けっきょく、お母さんも傷付くんです。

だれもしあわせになれない。
posted by なかのまき at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 書道教育
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/35959121
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック