2010年08月09日

言語と方言

あんまり、ふつーの人が見る機会はないとおもうのですが、
たまたま見せられて、「なんだこれ」って思ったので。
紹介します。

『大学共同利用機関法人 人間文化研究機構要覧 2010』
というパンフレットをみせてもらって。

その、「国立国語研究所」のところに
「消滅危機方言」という語がありました。


「消滅危機方言」の研究
ユネスコは世界各地における消滅危機言語を発表し、日本に関しては8つの言語(方言)が消滅危機と認定されています。これらの世界的に貴重・希少な日本語諸方言を集中的に記録・保存し、先端的な理論研究によって分析することで、世界規模で展開されている危機言語研究に貢献するとともに、それら諸方言が用いられている地域社会の活性化にも寄与します。文化庁が計画する危機的な状況にある言語・方言の実態に関する調査研究事業に協力していきます。(p.27)



これ、すごい文章なんですよ。

「ユネスコが消滅危機言語を発表」
「日本に関しては8つの言語(方言)が消滅危機と認定」
「これらの世界的に貴重・希少な日本語諸方言を集中的に記録・保存」

ということで。

言語→言語(方言)→日本語諸方言

と、どんどん、話が「言語」から「方言」にすりかわっていっているわけなんですよ。

で、最終的にユネスコの「消滅危機言語」と国語研究所の「消滅危機方言」って、なんか関係あるの?

言語を方言におきかえて通用する問題ではないし、国語研のこの文章、あきらかにわかっててやってるとおもうんですが。
(だって、国語研にいるような方言の研究者が言語と方言を無防備に混同するなんてことは、どうかんがえてもありえない)

国語研でやってるのは「方言」なわけですよね。ユネスコの「消滅危機言語」と関連づけようとするのは、それは木で竹をつぐようなものじゃないですか。
ユネスコを引き合いに出すなら、「方言」じゃなく「言語」の線でいかないと、わけがわからなくなりませんかね。

なぜ国語研はわざわざ「言語」を「方言」にすりかえをおこなうひつようがあるのでしょう。

……うーん。
アイヌ語を切るためかな。

ユネスコ発表の日本の消滅危機言語は

アイヌ語・八丈語・奄美語・国頭語・沖縄語・宮古語・八重山語・与那国語の8言語ですね。


それにたいして、国語研発表の「消滅危機方言」は国語研のサイトから見られます。

消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究


•奄美方言:中島由美(一橋大),松本泰丈ほか
•沖縄方言:狩俣繁久(琉球大),ウェイン・ローレンス(オークランド大学)ほか
•宮古方言:田窪行則(京都大),久保智之(九州大),下地理則(群馬県立女子大)ほか
•八重山方言・与那国方言:金田章宏(千葉大),狩俣繁久(琉球大)ほか
•八丈方言:金田章宏(千葉大),大西拓一郎(国立国語研究所),新田哲夫(金沢大)ほか
•アクセント:松森晶子(日本女子大/国立国語研究所客員),上野善道(東京大/国立国語研究所客員)ほか
•方言の社会的機能:ダニエル・ロング(首都大学東京)ほか



とあります。わりかしユネスコとかぶりますね。
ただ、アイヌ語がない。

それで、よくわからないのが、国語研のサイトの、このページに、

研究の土台となるのは,宮岡伯人を代表とする科研費特定領域研究「環太平洋の「危機に瀕した言語」にかんする緊急調査研究」(1999年度〜2003年度)である。本プロジェクトの主要メンバーは,すでにこの特定領域研究に参加している。


とかいてあって、この科研費ではアイヌ語のこともとりあげてますね。というか、日本国内の言語にもかぎってないわけで。

これをみるにつけても、なぜわざわざ国語研は「消滅危機方言」っていういいまわしをつかわなければいけないんだろう。
ちょっとよくわからないな。



posted by なかのまき at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/40073921
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック