2010年09月29日

まだまだクレッチマー類型論

前回の記事「ニセ心理学にだまされるな!」の帯が下品だとおもったわけで紹介した渡邊芳之(わたなべ・よしゆき)氏がネット上でクレッチマー類型論についてのべている記事がありましたのでご紹介します。

ABOFANへの手紙(前半)

おお、また血液型診断の話だ。
引用します。

メール(その6) H12.1.26 14:03
ABOFANへの手紙(6)
(略)
5.読者からのメールについて
(略)
> それと、やはり、「クレッチマー説」についての決着(オトシマエ)はきちんとつけて
> 欲しいですねえ。渡邊さんにとってはスカみたいなテーマで鬱陶しいだけでしょうから
> これについての議論はのぞみません。否定的な傾向が強まっているようですので、とり
> あえず、「血液型と性格は関係ないのになぜ多くの人が関係あると思っているのか」を
> 「体格と性格は関係ないのになぜ性格心理学の専門家が関係あると思っていたのか」に
> 変更して「心理学会」で見解を確定させていただきたいという希望を述べておくことに
> します。

この「スカみたいなテーマ」なんて言い方は実に私っぽくて,その点で「読者=渡邊」ではないかと他の心理学者はますます疑うと思いますが(笑),ホントにスカみたいなテーマですね.で,まあクレッチマー説は「体格と関係のある精神病の症状や,その精神病に特有の性格傾向を理解するためにはある程度有効だが,健康な人間の性格を理解するためにはもはやあまり考慮されていない」ということになるでしょう.

ただ,ダメになった学説はいつもきちんと否定されるかというと,そんなことはありません.それは「老兵は死なず,ただ消え去るのみ」ということになって,新しい学説に自然と交代していくものです.だって,天動説や錬金術を,どこかの学会が決議をもって否定した,なんてことはたぶんないでしょう(あるかも知れない.もしそういう史実をご存じの方はぜひ教えてください).

とはいえ,ダメになった説をちゃんとやっつけておかないと「老兵が復活」ということになる場合もあります.血液型についても心理学業界では一応「昭和15年頃に決着済み」というのが公式見解なのですが,その時はきちんと心理学的な議論で決着を付けずに,血液学者や生理学者の応援や,東京帝国大学の権威などを利用してうやむやにしてしまった経緯があります.だからこうやって復活してきても効果的に戦えない.
それは反省する必要がありますね.

クレッチマーは現に心理学の教科書に堂々と載っているんだから,血液型より深刻な問題かも知れません.血液型は心理学の教科書に(ごく一部を除いて)載ってませんから.基本的に同じ問題なのに,そっちはほっといて血液型だけやるというのは,私もけっこうずるいのかも知れない.やっぱり学界の権威が恐い? 否定はできません.


強調は引用者です。
おおー。心理学の人がネット上でここまですぱっとかいてくれていると、いいですねえ。

それにしてもこのページ。
すっごいおもしろい。
なんか、いろんな意味でおもしろいのだけど。
読み物としておもしろいし、勉強になります。「への手紙」のところは。
これがタダでよめるなんて。


あとなんか、心理学の世界もたいへんなんだなー。ということがうかがえます。
私カンチガイしてたのですが、クレッチマー類型論って、心理学の世界ではもうとっくに解決済みのものかとおもってたのですが。
……そうでもないのか。
「クレッチマーは現に心理学の教科書に堂々と載っているんだから,血液型より深刻な問題かも知れません.」とか。そうか。

なんか、なんの根拠もなく、日本語学でいう「神代文字」と同レベルに決着がついた問題だとおもいこんでいました。
(ああ、でも数年前の日本語学会で神代文字の話題でたなー……)

あ、神代文字については

wikipedia 神代文字

あたりをどうぞ。
でも、このwikipediaの記事、両論併記っぽくていやんなかんじ。

私が学部時代につかった教科書をぱらっとめくってみたらこうかいてあります。

「神代文字」としてわが国に古く固有の文字があったとする説が近世の国学者を中心に主張された。しかし、その実例として示された「日文(ひふみ)」は四十七音節、他の例も五十音節以上にでることはなく、『古事記』では八十八音節が区別されているという上代の音韻の実態さえ反映していない。また、神代文字で記された確実な記録・文献に欠けるところから、今日では、その存在は認められていない。(『新訂 国語史要覧』)
posted by なかのまき at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ニセ科学;筆跡学
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