2013年03月21日

「金明秀先生@han_orgの「ぼくは字が下手である。」 」によせて。

ツイッターのツイートをまとめたtogetterというサービスのなかの、

「金明秀先生@han_orgの「ぼくは字が下手である。」
http://togetter.com/li/257240

というページを眺めておもったこと。
それと、本日ツイッターで金明秀氏となんどかやりとりをしたのでそれについても補足。

まず、この一連のツイートについてですが、


@nakanomaki ただ、一連のツイート全体の趣旨はむしろ悪筆と学力とを単純に関連づけるのは間違っているという話です。しかも、「悪筆」を揶揄したと読み取った人々向けに、プライバシーを開示しながらツイートの背景を説明することもやりました。(続)
https://twitter.com/han_org/status/314527764176842752


このような意図で編集されているようですので、誤解のなきようおねがいします。

私は

高学力層に悪筆が増える理由は、おそらく権威主義の弱さによって説明されます。低学力層に悪筆が増える主たる理由は、階層性だと思います。 RT @makoratti: なぜU字型になるのかな。
https://twitter.com/han_org/status/168692406743601152


このようなツイートから、金氏は


学力の低い学生ほど字が汚い傾向があるけど、その一方で、学力の高い学生ほど逆に字の汚い学生が増えるんですよ。
https://twitter.com/han_org/status/167259932255719424


こういった趣旨のことを主張したいのかと誤解したのですが、「悪筆と学力とを単純に関連づけるのは間違っている」ということを主張したようです。くれぐれも誤解のなきよう。私はまだ誤解してます。ほんやくこんにゃくほしい。

さて。
学力と字の関連ですが、そのような仮説は面白いし、ちゃんと研究すればそれなりに結果がでそうなきもしますし、もしそうであればぜひ、そういう研究は読んでみたいです。
ということをふまえて。




まず、字の美しさとはなにか。ということですがなにを「うつくしい」とするか。

字の美しさを判断するのはひとつひとつの字の形もさることながら、字間や文字のレイアウトなどといった全体的なものも評価されます。
たてがきよこがき、硬筆毛筆などのさまざまな書字の場面でかわってくるでしょう。
たてがきが得意な人もいればよこがきが得意なひともいる。硬筆が得意な人もいれば毛筆が得意な人もいる。毛筆が得意でも硬筆が苦手だったり、その逆だったりすることもままあります。
また、「美しさ」の評価基準も、目の高さによって変化してくることでしょう。
毛筆書道を習っている人と習っていない人で「うつくしさ」の判断のポイントがかわってきたりするでしょう。
また、そもそも「うつくしい字」から排除される人については、「学力と字のうつくしさ・みにくさの関係」についての研究をする際にはこれはべつだてでなにか処理をしたほうがよいかとおもいます。
たとえば病気やけがでペンを手でうまくにぎれない場合とか。手でペンを握らず口や足指でもってでかいている場合とか。それと、左手で書字している場合とか。
ただし、左手書字については、左手書字をする人間ていうのは左ききがおおく、左ききについては「矯正するかしないか」というのも、昔は学校で教師がこどもの左手を包帯でしばる、などの暴力行為がおこなわれた例もあるようですが、いまではだいたい「家庭の方針にまかせる」と家庭に丸投げされているのが実情でしょう。となると、これも「階層」とかかわってきそうでもあります。このへんのややこしさをどう始末をつけるか、などと考えるのは難しいですが、そういう議論があるならぜひききたいです。
そして逆に、そういう議論を一切しないまま「学力と字のうつくしさ・みにくさとの関係」についてなにかいうのであれば、それはきく価値もないただの暴論です。

もう一度繰り返しますが、字のうつくしさ・きたなさと学力との関連になにかがあらわれるかもしれないという仮説自体を否定するひつようもないし、なにか出てくる可能性も十分にありえるとおもうし、そうであればいったいそれがなんなのか、私はみてみたい。
そういう研究があるならば、ぜひその論文を読みたいです。

字に階層が無関係であるとはおもいません。現時点では、十分に関係ありうるでしょう。
それと同時に、てがきの書字はからだをつかいます。字の形を決定するのは、からだという要素があります。人のからだは、多様です。そしてその多様さは、階層とまったく無関係といいきれるわけでもありませんが、かなり関係のないところもおおいにあります。
字の形のちがいは、ひとのからだの多様さをうつしているという面もあります。それを無視したところでおこなわれる、字と階層との関連性についてのかたりには、あまり意味があるとはおもいません。
それどころか、一面的で、乱暴です。



高学力層に悪筆が増える理由は、おそらく権威主義の弱さによって説明されます。低学力層に悪筆が増える主たる理由は、階層性だと思います。 RT @makoratti: なぜU字型になるのかな。
https://twitter.com/han_org/status/168692406743601152


@han_org @makoratti 低学歴・低学力層は、字の綺麗さブラスにならないし、高学歴・高学力層は、字の汚さがマイナスにならないが、中間層では、字の綺麗さ・汚さの影響がもっとも大きいから。違うかな?
https://twitter.com/Ichy_Numa/status/168693890482835457



どこまで崩しても識別可能かを認識できる機会が多いとはいえるかも。 RT @sousaemon: @han_org 算数の計算問題を大量に解いていると、スピードを求めるため、どんどん悪筆化する気がします。高学力者は計算問題を沢山解いているので、悪筆な者も多いのだと思います。
https://twitter.com/han_org/status/168696092593106945


もっともらしいようにみえるけど、なんだかよくわかりません。
本当に高学歴者に悪筆がふえるのか。それは権威主義のよわさで説明できるのか。高学歴層は字の汚さがマイナスにならないのか。高学歴者は計算問題をたくさん説いているのか。
じつは、これらの語りの真偽にはわりと、あまり興味がありません。
これらのかたりが意味のある分析なのか、たんなるヨタばなしなのか。それはわりとどうでもいいです。

ただ、からだの多様性についてまったく触れないこのような語りが、書字行為にかかわるからだの多様性に教育がまったく追いついていないことを置き去りにしたまま都合よく広まり、利用されていくかをかんがえると気が重いです。

ヨタ話であるから許さない、とか真実を暴露したから許さない、とかそういうことではなく。
語ったことを差別だといいたいのではなく、語らないことが暴力なのです。
そしてその暴力は、階層の話であるとうそぶきながら、じつはそこで終わらずにある一定のからだのありようから外れたひとに牙をむく差別となります。

もう一度。
語られた内容が差別なのではなく、語らないことが、差別なのです。
posted by なかのまき at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 文字のこと
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